ほろほろ通信『疲れた顔をしてますよ』志賀内泰弘

不破美樹さん(39)の娘さんは、昨年名古屋市中村区の六反小学校に入学した。都会の真ん中で住民が少なく、たった8人のクラスである。担任は天田先生。50代後半の女性だ。

最初の授業で「あまたの『あ』は明るくの『あ』、『ま』は毎日の『ま』、『た』は楽しくの『た』です。1年間、毎日明るく楽しく過ごしましょう」と自己紹介され、しゃがんで子どもたちと同じ目線になり全員と握手を交わした。不破さんは、こんな温かな心の先生なら安心してお任せできると思ったという。

12月の個人懇談の時のこと。不破さんがいすに座ると先生がおっしゃった。

「お母さん、疲れた顔をしてますよ。大丈夫?」

そのとたん涙がボロボロ流れてきた。介護士の仕事をしており、さまざまな悩みを抱えている。自宅でも88歳になる義母の看病をしていた。そんな中、長女は高校受験を控えていたが、なかなか相談にも乗ってやれない。疲れ果てていた。先生のやさしさが心にしみた。

そしてこんなアドバイスも。

「子どもの乗る自転車を想像してくださいね。前輪は学校、後輪は家庭。その自転車にまたがるのが子どもです。歯車がかみ合わないと前には進みませんよ」

さらに長女のことにも触れて

「受験は三つ受けるといいですよ。すると神様はその子に合った高校に合格させてくれます」

とも。涙が止まらなくて、話もできなくなってしまった。

その後、先生は1年で異動に。「親の悩みにまでご指導くださり本当にありがとうございました」と不破さん。長女も無事第一志望に合格したという。

<中日新聞掲載2010年8月8日>

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