ほろほろ通信『新聞が届けた感謝の気持ち』志賀内泰弘

一宮市の小島章裕さん(38)が、夫婦で敷地の草引きをしていたときのこと。かごにスポーツバッグを載せた自転車の青年が近寄ってきた。
「すみません、一宮の県営グラウンドはどこでしょうか」

聞けば高校の陸上選手で大会に行く途中だという。グラウンドまでは相当離れている。集合時間を尋ねると開始時間はとうに過ぎているではないか。小島さんの奥さんが「私が送ってあげましょう」と言い、車に自転車を載せてグラウンドへと向かった。

奥さんが車の中で聞いた話によると、彼の家は稲沢市。自転車を走らせるうちに道に迷ってしまい、江南市にまで行ってしまった。焦ってよけいに分からなくなったらしい。夕食を取りながら「無事に出場できたかしら。気の利いた励ましの言葉もかけられなかったし…」と奥さんは心配していた。

その数日後、5月24日の夕刻のこと。奥さんの母親から電話があった。「夕刊を見てごらん。あなたたちのことじゃないの」。慌てて新聞を見ると「ハイ編集局です」の欄に「息子に代わりお礼」という題でこんな話が掲載されていた。

「高3の息子が県営グラウンドまでの道を尋ねたら農作業中の若夫婦が送ってくれたとのこと。帰宅して『すごくうれしかった!』と言うので『お礼にうかがわねば』と言うと『場所が分からない』と。紙面を借りて一言お礼を言わせてください」というもの。

記事からすると試合に間に合った様子。「ほっとしました。息子さんとお母さん、新聞を通して気持ちは確かに届きました。こちらこそすてきな出来事をありがとう」と小島さん夫婦は言う。

<中日新聞掲載2010年6月20日>

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