ほろほろ通信『百歳の誕生日を前にして』志賀内泰弘

特別養護施設に入居していた小牧市の三和稔さん(74)のお母さんは、去る9月20日の敬老の日が、なんと百歳の誕生日。施設では誕生会を準備していた。ところが、6日に容態が急変し亡くなられてしまった。

三和さんは7人兄弟の長男。以前は自宅で母親の介護をしていたが、高齢になり世話ができなくなってしまった。老々介護だ。やむをえず施設を利用したが、実に献身的に面倒をみてくれたという。

担当のスタッフ7人が交代で勤務するが、時間がオーバーしても付き添ってくれた。たんが詰まると、ショウガの湿布をのどに張ったり蒸しタオルで体を温めたりと、まるで自分の親の世話をするかのように。

こんなことも。長くベッドで寝たきりの状態が続いた。一歩も外へ出られない。それをおもんぱかり、野で花を摘んで部屋に飾ってくれた職員もいた。ときには自費で花を買ってきてくれることもあったという。

通夜の席では、職員が一緒に涙を流してくれた。葬儀を終えて施設にあいさつに出向くと、「三和さんをしのぶ会」を催したいと申し出があった。本当に家族同様に接していてくれたことに改めて感激した。

その9月21日の会は、百歳の旅立ちにふさわしく、介護職員、看護師、そして入居者やその家族のみなさんが集まり、お茶菓子を摘みながら談笑した。職員の一人からは「郷里の父親を昨年亡くしたが、離れていて何もしてやれなかった。その分を尽くさせていただきました」と言われた。

三和さんは「感謝の気持ちでいっぱいです」とおっしゃった。

<中日新聞掲載2010年10月3日>

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