ほろほろ通信『トイレのくみ取りのお兄さんへ』志賀内泰弘

武豊町の甲斐保子さん(79)は10年前にご主人を、亡くし、娘さんの嫁ぎ先の離れ家で暮らしている。トイレはくみ取り式だ。1力月に1度、バキュームカーがやって来る。あらかじめ「し尿くみ取り券」を買っておき、おおよその枚数を雨にぬれないように空き瓶に入れて表に置いておく。バキュームカーにメーターが付いていて、量に応じて枚数を取っていく仕組みになっている。

車の音が聞こえると窓を開けて「ありがとうございます」と声をかける。いつも来てくれるのは若いお兄さんだ。大きな声で「こんにちは」「ありがとうございます」と返ってくる。臭くて嫌な仕事のはずなのに、いつもニコニコ。その笑顔が何よりうれしい。

一度吸い込んだ後で、バケツに水をくんで流して掃除をする。そして残りをきれいにくみ上げる。ほんの数分の素早い作業だ。おせっかいかもしれないが、もしまだ結婚されていないのなら、 お嫁さんをお世話したい気分になる。お菓子か何 かお礼に差し上げたいと思っているが、忙しそうでゆっくり話をする余裕もない。

暮れに来てもらった時にも「いつもすみませんね。ご苦労さま」と言うと、「どうぞ良いお年を」と言って帰っていかれたという。甲斐さんからくみ取りのお兄さんへ。

「ありがとうございますを何度言っても足りない気がします。月に一度会えるのが楽しみです。これからもお世話になりますが、笑顔で頑張ってくださいね」

<中日新聞掲載2010年2月14日>

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