ほろほろ通信『二つの親切を見たおかげ』志賀内泰

名古屋市中川区の村上基子さん(50)が仕事で大阪に出掛けた時の話。電車に乗り込むとかなり混雑していた。発車間際に「すみませーん」という声。そちらを向くと学生らしき二人の女の子が、おばあさんと一緒に人をかき分けてドアの方へ向かおうとしているのが見えた。「ああ、いいお孫さんだなぁ」とほほ笑ましく思った。

ところが、おばあさんだけ電車から降ろすと、彼女たちはそのまま車内に残った。その時、合点がいった。優先席に座っていた見知らぬお年寄りの手助けをしたのだと。

その1週間ほど後の日曜日午後4時ごろ、名古屋市の地下鉄日比野駅での話。ホームはかなり混雑していた。電車に乗り込むと、席に座っていた男の子たちが一斉に立ち上がった。しかし誰も降りようとしない。今、乗り込んで来た人たちに席を譲ったのだった。全員が同じTシャツを着て、スポーツバッグを手にしている。部活の帰りらしい。引率の先生もいないのに、誰かが合図したかのようにサッと立ち上がったことに感激した。一人の子のバッグに「平針中学」と書かれてあった。

それからまた一カ月ほど後のこと。家の近くで白いつえをついた男性を見かけた。よろけたので危ないと思い、とっさに自転車を降りて声を掛けた。近くの教会に行きたいとおっしゃるので、少しの間だけ肩に手をおいてもらい誘導した。生まれて初めてのヘルプだった。

「つい先日の二つの出来事を見たばかりで、その親切心が自分にも伝わって体が動いたのでしょうか。自分でもびっくりしました」と村上さんは言う。

<中日新聞掲載2010年1月24日>

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