たった一言でコンテスト受賞作品★ニコニコ賞★『昔のことはもう、お忘れになったのかしらね? 淋しいことですわ』

東京都青梅市
ペンネーム:あんぴさん

<心に響いた「たった一言」>
「昔のことはもう、お忘れになったのかしらね? 淋しいことですわ」

<「たった一言で」エピソード>
それは、私が都内に出張に出かけた日の、帰りの電車の車中での出来事でした。

帰宅ラッシュには少し早い時間帯だったものの、割りと乗客も多く、私とその妊婦さんは立ったまま数駅を通過した頃、大きな駅に着くと数名の人が席をたって降りていき、やっと空いた優先席に彼女は座ることができました。

その妊婦さんは、立っている時も少し顔色が悪く、鞄にマタニティーのマークを付けていたので、「誰か気づいて席を譲ってあげて欲しいな」と思っていた私はホッとしました。

しかし、その駅から乗ってきた60歳半ばの女性2人組は彼女の前に立つと、怪訝そうな顔で彼女を見た後、何やら彼女について二人で話しているようでした。やっと座れた彼女も居心地が悪そうな、落ち着かない様子で下を向きながら、少しずつ荷物をまとめて立つ準備をしはじめていました。

次の駅で、彼女が席を立とうとした瞬間、隣に座っていたご高齢の女性が彼女の肩にそっと手を置き、立つことを制したあと、彼女と二人の女性の間を通り抜けながら、一瞬立ち止まり、しっかりした眼差しで、二人の女性を凝視し、

「昔のことはもう、お忘れになったのかしらね?淋しいことですわ」

と言うと、しなやかな身のこなしでホームに降りていきました。残された2人の女性も周りの乗客の視線にバツが悪くなったのか、隣の車両へ移って行ってしまいました。

二人が去った私たちの車両には、何となくスキッとした心地よい空気が流れ、妊婦さんにもやっと安堵の表情が戻ってきました。私は、そんな妊婦さんを見ながら、あの颯爽と去って行った高齢の女性の言葉を思い出していました。

人はのど元を過ぎると、辛かったこと、苦しかったこと、悲しかったことを忘れてしまいます。ある面、これは人間として生きていくすべなのかもしれませんが、その時に助けてくれた人、支えてくれた人、思いやってくれた人への感謝や幸せな感覚、次にそんな人がいた時は、自分がそう言う人になって恩返ししていこうと思った気持ちは決して忘れてはならないもののはずでした。

これを機に、改めて「昔のことも大切な自身の教訓とし、素敵な女性であり続けられるよう努めていこう」と思った私の大切な日でもありました。

最新情報をチェックしよう!
>プチ紳士・プチ淑女を探せ!運動とは?

プチ紳士・プチ淑女を探せ!運動とは?

ゆっくりでいい。一歩ずつでいい。
自分のできる範囲でいいから、
周りのことを思いやる世の中を作ろう

CTR IMG