神奈川県横浜市
ペンネーム:朱々さん
<心に響いた「たった一言」>
あなたのおかげで、寿命が1日延びたのよ
<「たった一言で」エピソード>
学生時代に、友人を亡くしました。自殺でした。
その友人はあるとき辛い経験をしてしまったことから思い悩み、亡くなる1週間ほど前からはひどいうつ状態に陥っていました。私は彼女とは同じ研究室で親しく、春休み中でしたが彼女が心配で亡くなる前日に会っていました。
彼女はその辛い経験のことを何度も話す中で憔悴しきっていたので、私は「いったん休んだ方がいいよ。ゆっくり眠って。それでまた会おう。私は明日は予定があるけど、明後日またここでね」そう言って別れました。
しかしその翌日、彼女は自ら命を絶ってしましました。
呆然としました。
「どうして」という思いでいっぱいになり、私は自分を責めるようになりました。彼女と最後に会った友人が、私しかいなかったからです。
「どうしてあの時別れたんだろう。どうして次の日も会いに行かなかったんだろう」
そんな私に、彼女のお母様がかけてくださった一言です。
「あなたのおかげで、寿命が1日延びたのよ」
彼女のお母様は、ご自身もお辛いのに静かに私を励ましてくださいました。
「あのとき、私たちは離れて暮らす娘に会いにも行かなかった。あの子が大丈夫と言うから、大丈夫だろうと思ってしまってね。娘に会ってくれていてありがとう。もしあなたがいなかったら、あなたが会ってくれた日に娘はもう死んでいたかもしれない。でもその日はちゃんと家にも帰ったの。でもきっと限界だったの。むしろ、あなたのおかげで、寿命が1日延びたのよ」
卒業した今も、お母様とは連絡をとっていますが、きっと悲しみは一生癒されることはありません。しかし、この言葉で、私の心にできてしまった大きな穴に、光が差し込んできたそうな感覚を受けました。
難しいことですが、「ほんの少しでも私は彼女の役に立てた」、そう信じたいと思いました。
私と同じような経験をされた方に、彼女のお母様の言葉を共有できたらいいなと思いました。
いろんなお辛い経験をされ、今なお苦しみの中にある方に、希望がありますように。