たった一言でコンテスト受賞作品★ホスピタリティ賞★『キャップ、開けますね』

神奈川県茅ヶ崎市
ペンネーム:i_coさん

<心に響いた「たった一言」>
「キャップ、開けますね」

<「たった一言で」エピソード>
正月の実家訪問からの帰り道。新幹線のデッキでくったりしながら一歳半の我が子をあやしていると、30代半ばの男性に声をかけられました。

「窓際に移られませんか? お子さんもいらっしゃるし」

繁忙期の新幹線です。混み合う車内も片側が壁なら気疲れせず、子供も機嫌が良くなります。疲れているときの人の優しさは、ひと際ありがたいものです。さらに男性は、自動販売機でペットボトルのお茶を買ってくれました。遠慮しつつもありがたく頂く私に、

「キャップ、開けますね」

はっとした一言でした。蒸す車内で飲み物を買っていただいただけでもありがたいのに、親切を最期までやりぬくその方の細やかな気遣いが、まざまざと感じられました。

揺れる車内で動く子供の手を握りつつ、小さな飲み口に丸いキャップを閉めるのは想像以上に難しいのです。疲れと熱気で茹った私の頭の中を、お茶が冷たく沁みわたっていきました。

その方も2歳のお子さんがいらっしゃって、奥様の苦労をいつも見ていると。なので、手助けできることがあればと思って、と。

男性はそのあと、ぐずる我が子をあやしてくれました。すると、通路の反対側に立っていた女性もにこにこと子供の相手をしてくれます。奥にいた、同じ年くらいの男の子とその父親さんも一緒になって。私は、優しさが連鎖していく様子を呆然と感動しながら見ていました。

無償の好意を他人に施せる人がいること。相手の喜びが、自分の喜びになる人がいること。そして、その気持ちは人に伝わり、広がっていくということ。できすぎた漫画のような、嘘っぱちなほどの善行に実際行き会うとは。

しかし目前で見るとそれは、できすぎにも嘘っぱちにも思われず、どんなに心が温まるものだったでしょう。彼らからもらった優しさを、今度は私が他の人に分けていきたいと思います。

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