ほろほろ通信
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ほろほろ通信

志賀内が中日新聞で連載した「ほろほろ通信」から選りすぐりのいい話をご紹介します。

『毎週金曜日の帰り道』|ほろほろ通信 志賀内泰弘

毎週金曜日、田原市の青山琴音さん(16)は学校から帰るのが楽しみで仕方がなかった。 いつもよりスピードを上げて自転車を走らせる。家の前に車が止まっているのを見ると「あ、今日も来てくれた」とうれしくなり「ただいま!」とドアを開ける。 おじいちゃんとおばあちゃんが「おかえり」と迎えてくれる。両親がともに働いていて留守のため、週に一度訪ねて来てくれるのだった。おばあちゃんが作ってくれた熱々のうどんを3人 […]

『娘を嫁に出す気持ちで』|ほろほろ通信 志賀内泰弘

毎週日曜日、岡崎市の柵木(ませぎ)哲朗さん(59)は市民センターへ資源ごみを持って行く。そこでは、市から委託を受けたシルバー人材センターの人たちが回収作業に携わっている。 ある日、70歳くらいの男性係員から「ペットボトルはつぶして出してほしい」と頼まれた。そのままだと、かさんで袋に入らなくなるからだ。回収の仕事をしてくれている人の気持ちも考えずに出していたことを反省。以来、柵木さんはつぶして持ち込 […]

『大先輩たちに見守られて』|ほろほろ通信 志賀内泰弘

多湖史子さん(60)は、名古屋市北区の大杉小学校に校長として赴任した際に驚いた。子ども会への加入率がほぼ100%なのだ。 昨今、名古屋市内のどの学区でも地域行事に参加しない家庭が増えている。そのため、子ども会そのものが消滅したところもある。 ところが、大杉学区は戦火を免れた古い街並みが残され、祖父母と同居する家族が多い。そこに昔ながらの人付き合いが生きている。 分団登校時にはボランティアのおじいさ […]

『1055人にありがとう』|ほろほろ通信 志賀内泰弘

渡部隆一さん(47)は名古屋市昭和区の児童養護施設「名広愛児園」で施設長をしている。 夏休みに大須スケートリンクから「子どもたちをスケート教室に招待したい」との申し出があった。ほとんどの子どもは初体験なので喜んで受けることにした。 当日、57人の園児たちがスケート靴を履いた。中には3歳の子もいる。しかし、コーチに指導してもらい、こわごわながらも、あっと言う間に滑れるようになった。誰かが転ぶと歓声が […]

『おもちゃを直す喜び』|ほろほろ通信 志賀内泰弘

建築の仕事をしている服部幸一さん(49)は、笠寺おもちゃ病院で十数人のメンバーと共にボランティア活動をしている。基本的に部品交換がなければ無料とのこと。 服部さんはもともと、機械いじりが好きで仕事柄手先が器用。まったく経験はなかったが、先輩に教えてもらいながら修理の腕を磨いてきた。 ある時、おばあさんがロボットのおもちゃを持ってやってきた。操作すると恐竜に変身する。三カ月ほど前にお孫さんに買ってや […]

『子どもたちの「おもてなし」』|ほろほろ通信 志賀内泰弘

今年の敬老の日の出来事。名古屋市北区の平井邦子さん(76)は名北小学校で開催されるお祝いの会に招待された。 邦子さんは以前、民謡の踊りを習っていたことがあり、毎年敬老の日になると、仲間と出演して踊りを披露する。 ところが、いつも幕が開くと、あまり喜んでもらえていないような雰囲気が伝わってきた。さらに、来賓のあいさつが長いのも苦手。あまり気乗りしなかったが、友人と一緒に出掛けた。 校門で若葉中学校の […]

『ポチャンとU字溝に』|ほろほろ通信 志賀内泰弘

それは去年の夏のことだった。刈谷市の高山善直さん(49)が犬の散歩に出掛けたとき、自宅前のU字溝をのぞくと、流水の底に白い玉石がいくつも落ちていた。それは、玄関口に造られた小庭の石だった。 他家の犬が迷い込んで来て落としたのか、それとも近くの小学生のいたずらか…。しかし、U字溝を横断するように整然と並んでいる。その数50個ほど。高山さんは、石を拾って元に戻しておいた。 ところが、次の日も朝になると […]

『北区の赤ひげ先生』|ほろほろ通信 志賀内泰弘

「ほろほろ通信」は読者の皆さんの投稿を紹介するコラムだが、今回に限り筆者の私事の話であることをお許しいただきたい。 8年ほど前、母親をがんで亡くした。長く病気を患っていた父親の看病疲れから倒れた時には、すでに手遅れの状態だった。その際、在宅看護で支えてくださったのが水野内科・消化器科クリニック(名古屋市北区)水野直樹院長だった。 余命3、4カ月と宣告された母に「人の余命など分かるはずもなく、口にす […]

『地域の皆さん、ありがとう』|ほろほろ通信 志賀内泰弘

日當(ひなた)郁夫さん(61)は、岩手県野田村の出身。中学卒業後、集団就職で愛知県にやって来た。自動車関連会社に勤めながら定時制高校を卒業し、採用試験に受かって警察官になった。 定年を控えて岡崎署茅原沢駐在所に勤務していたとき、東日本大震災が起き、故郷の村が津波に襲われて半分の家屋が消えた。幸い両親は無事だったが、28人が亡くなった。 発生翌日から、茅原沢地区の人たちが続々と義援金や救援物資などを […]

『二度あることは三度ある』|ほろほろ通信 志賀内泰弘

岡崎市の三浦敏子さん(68)の長女愛子さんが、就職をしてすぐのころの話。 愛子さんが勤め先の仕事で近くの郵便局へ出掛け、窓口で並んでいると、列の後ろの方から何やら足踏みをしている音が聞こえた。 振り返ると、最後尾の男性が相当急いでいるのか、落ち着かない様子だった。そこで「お先にどうぞ」と順番を替わってあげた。よほどうれしかったのか「どーも」と男性がほほ笑んだ。 別の日の別の時間帯に、また同じ郵便局 […]

>プチ紳士・プチ淑女を探せ!運動とは?

プチ紳士・プチ淑女を探せ!運動とは?

ゆっくりでいい。一歩ずつでいい。
自分のできる範囲でいいから、
周りのことを思いやる世の中を作ろう。